蠍は留守です記

蠍の不在を疑わずに眠る暮らしの記録

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震災後、はじめて実家へ帰省した

実家で食べるごはんは美味しい。

親戚がお米を作っている田んぼは、福島県内でも美味しい土地柄と言われている場所にあるらしい。実家ではそのお米を毎年一年分まとめて買っている。地域的に津波の被害はなかったが、親戚宅の石倉も震災で崩れたそうだ。別の親戚も建物の一部倒壊で亡くなっている。

もし無事に今年も収穫することができたら、今年からは実家分だけじゃなくて東京の自宅分も買いたいと思っている。美味しいお米を、毎年ずっと食べ続けたい。

親戚が作ったお米を実家で炊いたごはん

震災後はじめての、実家帰省の機会。

金曜の夜に東京を出て、高速道路を走った。と言っても、助手席に乗っていただけだけど。すでに舗装を直してある箇所も、余震でまた浮いてきたりしていた。周りを走る車は、やはり関東ナンバーの物資運搬車やトラックが多かった。

サービスエリアは普段と変わらなく見えたせいか、少しだけ遠足気分になって燻製たまごを買ったりした。インター付近に密集するラブホ群のネーミングに笑ったり、学生時代の思い出話をしたりしながら、車は北へ向かって進んだ。少し雨が降っていた。

本当は一緒に仙台方面まで連れて行ってもらって何か手伝いたい気持ちもあったけれど、時間はとてもとても限られているし、身体はひとつしかない。

夜がすっかり明けた頃に、故郷の町に着いた。コンビニが閉まっている以外は、いつもとあまり変わらない気がした。後になってわかったことだが、実家に続く道のうちひとつは余震でまた石塀が崩れて通行不能になっていた。引き返すのも大変な場所なので、そちらのルートを選ばなくてよかった。

実家へ着くと、私が玄関を開けた音で家族が目を覚ました。わらわらと猫たちが寄ってきたり逃げたりする様は、いつもの帰省と同じ風景だった。

新幹線も一週間以内に動くみたいだし、今年はマメに実家へ行き来するつもり。いつもなら親友と会う約束もするのだが、子どものいる彼女は関西に疎開中。できればそっちにも遊びに行きたいな。

仕事のスケジュールもタイトな中の帰省を許してくれて、仕事仲間に感謝。ありがとう。

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