蠍は留守です記

蠍の不在を疑わずに眠る暮らしの記録

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震災後、はじめて実家へ帰省した (その2)

帰省中、いつもどおりたくさんごはんを食べて、家族と話をして、猫をなでて、みんなで眠った。取り立てて何かの役に立ったとは思っていない。でもお互いに嬉しく思っていることはわかった。

野菜は相変わらず美味しい。身内が市場で仕入れてきた福島産の新鮮なスナックエンドウを思う存分食べた。東京の自宅用にも、たくさんわけてもらって帰ってきた。茹でて食べるのが楽しみ。他にも根三つ葉を分けてもらった。

福島のスナックエンドウ

水道から出る水の濁りが消えなかったので、お風呂やシャワーは使わずに過ごした。水道局を通してない水なので、余震や雨の影響をダイレクトに受ける。放射性物質の数値が高めに出る地域なので、水は少しだけ心配。

高速道路は、下り車線よりも上り車線の方がデコボコしていたように思う。また舗装し直しても、また大きな余震が来たらひび割れるのかな。新幹線が通るのもまた少し遅れるみたい。

帰りの車中で、山元町の現状を聞いた。近しい人の言葉はテレビの中の知らない被災者が語る言葉とは違う角度から刺さってくる。その様子や言葉を受け止めるのはとても大変なことだ。

ひとくちに被災者と言っても、宮城の被災者と福島の被災者とでは立ち位置も今感じていることも違う。当たり前のことだけれど、いろんな考え方があって、いろんな立ち直り方があるんだ。

私自身は本当に何の役にも立たなかったけれど、家族が嬉しそうだったからよかった。車の運転をしていた友人の気が滅入らないようにおしゃべりできたこともよかった。ちょっと前に比べて、そんなふうに身近なところにリーチ出来るだけでもいいんだと思えるように自然となってきた。

みんな、無力感なんて、感じなくていいんだよ。

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