蠍は留守です記

蠍の不在を疑わずに眠る暮らしの記録

20170509013806

喜多流職分会2月自主公演、賀茂・雲林院・小鍛冶

2月某日、喜多流職分会2月自主公演を観能させてもらった。番組は友枝真也さんの『賀茂』、大島政允さんの『雲林院』、佐々木多門さんの『小鍛冶白頭』。

最後の小鍛治は「白頭」ということで、ちょっと変わり種。小書に「白頭」と付いている場合、装束、特に髪の色が変わる。白は神聖さを表す色とされ、霊力の高さなどを表現するのだそうだ。また、喜多流だけに存在するという狐足も見ることができた。

喜多流職分会2月自主公演番組表

能は観る人の中にあるものを反映しながら訴えかけてくるので、一度観能したらしばらくはいろいろ反芻して楽しめる。舞台が自分の内面に波紋と余韻を残してくれるし、思い返すたびに新たな気付きがあって、ひとつ世界が広がる。

その世界は自分の内の余白から生まれるものだ。内なる余白はシームレスに観念世界とつながっていて、無意識のまま宇宙を見つめることと同じなんじゃないかな。そんなつながり方をもっと体感できたら、観能がもっと好きになるんだと思う。

それはさておき、舞台での印象の強さを取り上げるとしたら、佐々木多門さんの前シテ・童がとても心に残っている。後シテ・稲荷明神のすごみも当然なことながら、童の存在感が不思議な広がりを持って迫ってくる。

また、笛の一噌幸弘さんの演奏がよかった。最近篠笛に興味があるせいか、やたらに笛に意識がいく。一噌さんのライブも行ってみたいけど、一噌流以外の笛も聴いてみたい。忙しい。

とにかくこれからはもっと定期的に観能したいし、いろいろな流派を見たい。もうすこし知見を深めて、能面の見分けとか付くようにもしたいし。次は観世流かな。


参考URL

Copyright © Hitoyam.