このエントリは『お茶とわたし Advent Calendar 2015』の5日目です。
高山茶には高山気、というのがあるのだそうで、これはなんというか、飲んでみればわかる。言葉ではうまく表現できない。ひとくち飲んでひといきつくと、身体中をさっと駆け抜けるような気を感じるものだ。
高山気の中でも私が最もお気に入りの滋味が、杉林渓烏龍茶である。阿里山、梨山、大禹嶺... などいろいろある中で、私がいちばん好きな台湾高山茶と言っていい。南投縣竹山鎮、杉や竹に囲まれた標高1,600メートル以上の高地で作られているせいか、香りの中にかすかに森林のような景色が見える。
高山茶は半球型包種茶と呼ばれる形状をしている。一定の温度を加えながら少しずつ揉み、粒状に整えていくという工程で作られているのだそうだ。粒状のお茶の質感もまた美しいもので、茶壷の中に一粒落とすと、キーンと涼しい音を立てる。
日本の煎茶やイギリス紅茶とは違って、茶葉が開くと完全にお茶の葉の形に戻る。品質が高ければ高いほど、まるで生きているままの茶葉のように見える。開いた茶葉を見るのもまた楽しみのひとつだ。
ランクが高くない茶葉は、葉っぱの縁が茶色かったり、ギザギザしていたり、葉が大きく欠けていたりする。葉が壊れているということは味や香りにも影響が出るということで、やはり高級な茶葉はとてもとてもていねいに作られているのだろうなぁ。
こうして見ると、お茶って葉っぱなんだなぁと、とても不思議な気分。言い方を変えれば葉っぱを漬けたお湯を飲んでいるわけで、そのお湯が「お茶」という名前になってこんなに美味しく感じるというのが、時々とてもとても不思議だ。