蠍は留守です記

蠍の不在を疑わずに眠る暮らしの記録

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旅とわたし:パンコールラウ島(マレーシア)

このエントリは『旅とわたし Advent Calendar 2016』の6日目です。

日本からクアラルンプールへ。クアラルンプールから車で2時間のルムッ港へ。ルムッからフェリーで渡ったところに、パンコールという島がある。

パンコール島とパンコールラウ島で構成されており、パンコールラウ島の方はワンアイランド・ワンリゾートとしてのパンコールラウリゾートがある。エメラルド色の海に囲まれた小さな島だが、中心部はジャングルになっており、ユニークな植生や生態系を見ることができる。

訪れたのは乾季の終わり頃だった。宮古島のときはぐずぐずとした曇りが続いたが、パンコールラウではエキゾチックな晴れ間と強烈なスコールの落差を見ることができた。

プールサイドのパラソル

早朝に目覚め、身を起こすわけでもなくぼんやりしていると、突然激しい雷雨が襲ってくる。軽い恐怖を覚えるぐらいの雨音と雷鳴を伴い、思いのほか長い時間降り続く。日本の夏の夕立をはるかに超える、矢のような雨。その勢いをもって、雨はひさしの中へまで入り込んでくる。とてもベランダへ出てみる勇気はない。

陽が昇り、ようやく雨が止む。外の世界は何もかもが濡れそぼって、新しい生命を含んだかのように活き活きと輝いて見える。海が濁るのを除けば、スコール後の風景が一番美しいのではないかとさえ思う。そして日差しはどんどん強くなり、強烈な日差しを前に、やがて雨の気配は完全に消えてしまう。

プールと海がつながって見える

ビーチに面し、ジャングルを背にしたバンガローには、ときどき珍客が訪れる。白い猿がやってきたときには驚いた。こちらを威嚇するようなそぶりを見せながら、コーヒーシュガーやミルクの類をむんずとつかんで出ていった。たくさん野生動物がいるとは聞いていたが、猿がいるとは知らなかったので、肝が冷えた。

刺激しないことだけを考えていたので、当然写真に撮るなんてこともできなかったが、思い返してみると赤い顔に白い毛並みが美しい猿だった。もっと落ち着いた気持ちで出会っていたら、その神々しさに見惚れたかもしれない。

バンガローをつなぐ橋と大きな岩

陽の高い時間帯には、ジャングルからトカゲの大きいのが出てくる。彼らはしばらく岩の上でじっとしている。変温動物のひなたぼっこだ。最初はイグアナのような生き物かと思っていたのだが、よく見ると恐い顔をしているし身体も固そうだ。これが世に言うコモドドラゴンなのだそうだ。

1頭だけではなく、他にも何頭かいるのを見かけた。しかし同じ岩の上に乗っているのは見たことがなかった。彼らなりに決まりごとやお気に入りの場所があるのかもしれない。

コモドドラゴンがひなたぼっこしている

ジャングルトレッキングなどのアクティビティにも参加してみたが、ガイドさんの説明には途中で飽きてしまい、離脱して単独散歩するほうを選んだ。道はよくないものの整備はされているので、すこしハードな植物園くらいの感覚で歩くことができる。

ジャングルを挟んで裏側には、エメラルド・ベイと呼ばれる小さな浜がある。プライベートビーチ感満載のひっそりした浜だ。エメラルド・ベイは、どこがと言われると難しいけど、とにかくアジアって感じの匂いがする。珊瑚礁の真っ青な海も好きだけど、こういう海も悪くない。

プライベートビーチ的な趣のあるエメラルド・ベイ

パンコールラウに再訪したい理由は、何かなと考えてみた。アジアンリゾートの独特の雰囲気を味わいたいからかもしれない、と思い付いた。強烈な太陽。激しいスコール。ギラギラしているのに、まとわりつくような湿度。ビーチとジャングルが織りなす景色には、野性的な魅力がある。

そこまで考えて、ああ私はそうしたワイルドな場所で(しかしちゃんと守られながら)読書をするひとときがすごく好きなのだ、と思い至った。

つまり究極的には、またあそこに読書をしに行きたい。プールサイドで、ビーチで、バンガローのベランダで。時間を気にすることなく、好きなだけ読書をしたい。電子デバイスではなくて、文庫本がいい。もしかしたら、私がパンコールラウのシェアライブラリーに置いてきた文庫本も、まだ本棚にあるかもね。


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