蠍は留守です記

蠍の不在を疑わずに眠る暮らしの記録

20170509013806

旅とわたし:松島(日本)

このエントリは『旅とわたし Advent Calendar 2016』の11日目です。

ここまでのエントリを読んでくれている方には、私が海辺の街を偏愛しているのは、もうおわかりかもしれない。そのとおり、私は海辺の街を訪れるのが好きだし、旅先では特に船に乗ることを好んでいる。

海辺の街と船が好きな私が、西の小豆島を挙げたあと、東の松島を挙げないわけにはいかない。松島は宮城県にあり、日本三景のひとつとして数えられている。東日本大震災で被害を受けた場所でもある。

遊覧船からの景色

東北出身なので、松島には幼い頃に何度か訪れたことがあるし、学生時代にも何度か訪れているはずだ。しかし震災後に訪れるのははじめてだった。2013年のことで、ある程度の復興が進んだ後だったとはいえ、まだあちこちに傷跡を見て取ることができた。

三陸の牡蠣養殖を応援していることもあって、海の様子はとても気になった。そうでなくても船に乗るのが好きなので、年末の寒い時期ではあったが、何度も遊覧船に乗った。海は震災があったことなど忘れてしまうくらい、穏やかにととのっていた。とはいえ、きっといろいろ私の知らない苦労があるのだろう。

養殖場の近く

松島への旅行は、宅の主人と一緒だった。いちばん側にいる人なので、いきおい宅の主人はいつも私の船癖に付き合わされることになる。だいたい行きたい場所を口にした瞬間に「あー船ね」となるくらいには、船癖への理解がある。そんな旦那さんでよかった。

しかし冬の松島で乗る船は相当に寒く、心が挫けそうになるくらい。そんな状況でも、穏やかに光る波間や元気に飛ぶカモメ、養殖の様子を見ているのであろう漁師さんの姿などを見ると、寒さを忘れるくらい夢中で眺めてしまう。

外のデッキで延々景色を眺める私を「風邪を引かないでね」と心配する宅の主人。それでも客室の中に入れとは言わないあたりが、私のことをわかってくれている(もしくはあきらめている)証拠だとありがたく思っている。

養殖の様子を見ている漁師

松島は自分の暮らしたことのある地域に近い場所なので、同じ旅行気分で訪れても、小豆島を訪れたときとはまったく捉え方が違う。ここで暮らしている人の感じがすごくよくわかるし、冬の厳しさや復興の大変さもそれなりに理解できるつもりでいる。いい面ばかりでないこともまたよくわかっている。

美しい景色と、また育ちはじめた漁業の様子を見ながら、力強く前を向いている人たちが心穏やかに暮らしていける毎日であればいいなぁと、ただそれだけを願って帰ってきた。

炭で焼くささかま

名物を楽しむのも旅の醍醐味。ささかまを焼いたり、焼き牡蠣をつまんだり、時間とお腹の許す限り食べ歩きをした。おいしいものをつまみ歩けるって、とってもしあわせ。

また松島に遊びに来たときには、ここで育ったおいしい牡蠣が食べられたらいいな。

牡蠣焼き

松島に再訪したい理由は、やっぱり復興の様子などがなんとなく気がかりだから。うまくいっていることもあれば、そうでないこともあると聞く。

それから、ここまで挙げてきた街との大きな違いは、ここで生活してる人の顔を知っているということ。住んだことはないものの、旅という意味では気持ちの距離感が近い土地だ。むしろ「調子はどう?」って気軽に語りかけるくらいの感覚で、カジュアルに遊びに行きたいと思っている。

などと妙な理屈を書いてはみたが、そんなものは全部置いといて、大好きな遊覧船に乗りに行けたらそれでいい。シンプルにそれだけでいいのだ。次はまだ見たことのない、別の季節に。いろんな季節の松島遊覧船に乗りたい!


参考URL

Copyright © Hitoyam.