蠍は留守です記

蠍の不在を疑わずに眠る暮らしの記録

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旅とわたし:パマリカン島(フィリピン共和国)

このエントリは『旅とわたし Advent Calendar 2016』の4日目です。

同じ南の島でも、太平洋の島々とアジアの島々を比べると、だいぶ違って見える。3日間南太平洋のリゾートを振り返ってきて、今日はアジアのリゾートのことを書いてみることにした。

フィリピンのパラワン州にあるパマリカンという島は、フィリピンを代表する財閥ソリアーノ家の持ち物として知られており、アマンリゾートがホテル運営を行っている。

白砂の浜とヨット

個人的には、マニラからの足であるプロペラ機もアトラクション的だなぁと思っている。小さなターボプロップ旅客機の機体が、海上の低い高度でモンスーンに吹かれ、いい感じにふらつくのだ。飛行機好きにはたまらないだろうし、飛行機嫌いにはつらい時間かもしれない。

パマリカン島に降り立つと、マニラの喧騒が嘘のように静寂に包まれている。島内はカートで一周するのに約20分かかるくらいの広さ。広い島内にバンガローが十分な間隔を持って建てられているため、どこにいてもあまり人の気配がしない。

カートのタイヤ跡がついた砂浜

ビーチの砂がとても白く細かいのが特徴。乾いた砂の上では、足元にまるで捉えどころがない。波打ち際では、粘土に型押しをしているような気分になる。砂の感触を楽しむだけで時間が経ってしまう。

バンガローの目の前は誰もいないビーチ。はじめは気が付かなかったが、ビーチの浅瀬にも魚がたくさんいた。なぜ気付かなかったかといえば、魚たちが真っ白だったから。白い砂に紛れて、群れている。

浅瀬にいる白い魚

夕暮れの砂浜は、まるで雪が積もっているようにさえ見える。細かい砂のテクスチャが、ぼたん雪に似ていた。

足元の砂があまりに白いから、暮れてゆくのにいつまでも明るさが残っているように錯覚する。おのずと呼吸もゆっくりになっていくような、やわらかな景色。

人の歩いた足跡がついた白砂

夜の浜を歩けば、視界が利かない分だけ砂のテクスチャが存在感を増す。夜気を含んでしっとりと足の指にまとわりつくのが気持ちいい。そのひんやりとした感触は、不思議と昼間の熱を憶えているよう。砂の粒。冷たい熱。

手持ちの懐中電灯で足元を照らすと、まぁるい光の輪ができる。その瞬間、足元の感触がすっと遠のく。湿度の高い空気が重みを増す。光の輪が揺れると、肌に触れる空気もゆらゆら揺れる。もう一度冷たい熱を感じたくて、輪の外の闇につま先を伸ばしてみたりする。

篝火の準備

太平洋の島々が開放的にまるごと受け入れてくれる雰囲気だとしたら、パマリカンはそっと寄り添ってくれうような雰囲気を持っている。総じてオープンな南太平洋のリゾートと比べて、パマリカンは行き届いたサーブが心地いいリゾートだった。

パマリカンを再訪したい理由は、純粋に骨休めをするならここがいいなぁと思うから。何もせず、何にも追われず、ただただ静かな時間を過ごすなら、パマリカンがいい。しっとりとした静寂の中、海の底で眠るような気分で夜を迎えたい。今いちばん行きたいのは、ここかもしれないなぁ。


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