蠍は留守です記

蠍の不在を疑わずに眠る暮らしの記録

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お茶とわたし:アウトドアで淹れるお茶

このエントリは『お茶とわたし Advent Calendar 2015』の18日目です。

たまに山に登る。ハイキング程度の低山だが、山に入るとやはり特別な気分になる。そんな時にも、お茶は持っていきたい。そんな時には蓋碗という茶器を持っていく。蓋碗ひとつで急須がわりにもなり、茶杯にもなる。

私が使っているのは、小さめの蓋碗ひとつと飲杯5つが収納できるようになっているポータブルセットである。持ち歩き前提で考えられているものなので、ザックに詰めても壊れにくい。

蓋碗セット

私の場合、アウトドアと言ってもテント泊ではなく、たいがいは義父のいる山小屋にお世話になる。ランプが吊るしてあったり、ストーブがあったり、雰囲気があって素敵な小屋だ。ハイシーズンには宿泊の登山者も多くいる。山小屋文化は馴染んでみると居心地がいい。

ストーブにやかんを乗せて、お湯を沸かす。その大事なお湯でお茶を淹れさせてもらうのは、なんともいえない贅沢だ。杯が複数あるので、居合わせた登山客と一緒にお茶を飲むこともできる。

山小屋の様子

茶葉が開くのを待つ時間も心楽しい。いつもと同じお茶を淹れているのに、まったく異質の体験になる。山登りで疲労した身体には香りも味もソリッドに響いてくる感じがするし、何よりも圧倒的に寂然たる心持ちでお茶、時間と、山の空気と向き合えるのがいい。

蓋碗でお茶を淹れているところ

目の前にはストーブの火が燃えていて、それもまた自分の奥に静かで原始的な揺さぶりをもたらす。大きくなったり小さくなったりする炎を見つめることと、お茶を味わうことは、すこしだけ似ている気がする。

自分の中に満たされてくるのは、返す返すも圧倒的な静寂。思考と感覚が分離されていくのを肌で感じながら、しかし統合されていることも同時に理解していくあの感じ。それを私は愛している。

ストーブの炎

お茶と相性のよいものはいろんなところにある。好きな場所、好きなスタイルでの楽しみ方がまだまだ無限に広がっていると思うと、ただそれだけでうれしい。


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