蠍は留守です記

蠍の不在を疑わずに眠る暮らしの記録

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お茶とわたし:黄金みどり

このエントリは『お茶とわたし Advent Calendar 2015』の20日目です。

先日は茶畑のことを書いたが、実は日本国内でも行ってみたい茶畑がいくつかある。そのひとつが静岡・諸子沢で佐藤浩光さんが営む茶園である。佐藤さんのところでは、黄金みどりという品種を作っている。突然変異種で、温度感受性ではなく光感受性の茶葉で、ピーク時には菜の花のような色になる。煎茶よりも白茶に向いているお茶とのこと。

そもそも、日本で白茶を作っていることにも驚いた。2014年のできがよかったそうで、2014年のものをいただいて飲んでいる。白茶好きとしてはたまらない。

味もさることながら、私の出会ったお茶の中でいちばん姿が美しいお茶だと思っている。なんともいえない繊細さ。淹れる前にずいぶんうっとりと眺めてしまう。この姿の美しさ、本当にいつまで見ていても飽きないくらいなのだが、おわかりいただけるだろうか。

黄金みどりの茶葉

飲み終わった後の茶殻も独特の質感でしっとりと美しい。この茶殻を眺めながらお茶を飲みたくて、茶壺ではなく蓋碗で淹れることもある。お茶の姿を肴にお茶を飲む。なんという贅沢。おわかりいただけるだろうか。

お茶を淹れた直後の濡れた茶殻

さらにすごいのが、茶殻を乾かした後の姿も美しいこと。もともとの姿よりもすこし枯れた感じになるのも侘びていていい。枯れているわけではないので意外と丈夫で、枯れ葉みたいにくしゃっと粉々になったりしにくい。この茶殻の姿をそのままに観賞用の何かが作れないかと思うくらい。おわかりいただけるだろうか。

乾燥させた茶殻

先日は佐藤さんご本人やお茶の先輩方とご一緒させていただいた時に、いかに黄金みどり白茶の茶殻が美しいかということを一生懸命に主張したのだが、この気持ち、あまりおわかりいただいていない気がする(笑)。

黄金みどりをきっかけに、私の中で日本の発酵茶への気運がめきめき高まっている。もともと日本の茶葉は発酵茶に向かないということで、まだあまりメジャーじゃない存在のようなのだけど、これからどんどんいいものが出てくるのではないかな。


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