このエントリは『お茶とわたし Advent Calendar 2015』の21日目です。
日本の発酵茶の気運が私の中で高まる今、満を持して今いちばんお気に入りのお茶を紹介したいと思う。富士山まる茂茶園・マル茂本多製茶の丸火・青である。2015年最大の出会いは丸火・青で間違いない!
台湾や大陸で造られる烏龍茶。豊満な香り、淡麗な味わい。本物の烏龍茶は滋味深い高貴なお茶。それを富士山麓で実現したい。そんな思いを抱いて茶葉に向き合う中、熱を手で掴みとり知った水と火の奇跡。
奇跡に異論なし。五代目・本多茂兵衛を襲名した本多英一さんが作った丸火・青は、富士山麓で育ったお茶を発酵させ、さらにそれを焙煎したもの。つまり烏龍茶のほうじ茶。2015年は日本茶アワードほうじ茶部門でプラチナ賞を受賞したそうだ。
なにしろはじめて飲ませてもらった時は、心地のよいショックに襲われ、思考と言語を完全に奪われてしまった。はー、あの時の衝撃、今でも思い出せる。
はじめて飲んだ時の衝撃は格別だったけれど、今でも淹れるたびに都度美味しさに驚いている。涼やかな香りと焙煎のあたたかみが、絶妙なバランスで私の好みのどまんなかを吹き抜けるんだから。
その時の気分で、茶壺で淹れたり和急須で淹れたりしているが、どちらで淹れても美味しい。
丸火・青はまるもの焙煎茶シリーズのひとつで、無印の丸火もある。丸火にはまるっとやさしく火が入る、という意味があるのだそうだ。芯まで熱を加えてカフェインを抜いているので、小さいお子さんも安心して飲めるとのこと。
焙煎茶、つまりほうじ茶なのだけど、今までこんなにつやめいたほうじ茶には出会ったことがない。茶缶のふたを開けるたびに、薄く控えめに光る茎に見とれてしまう。これはもう本当にみんなに見てほしい。こんなに美しいつやを持つほうじ茶があるなんて。
この世界には、夜な夜なほうじ茶の茶葉を見てうっとりする人妻が存在するということを覚えていてほしい。
くだらない話はともかく、ほうじ茶を質の高い嗜好品に押し上げた本多さんの覚悟と情熱はすごいなぁと思う。焙煎を極めた先の何かをもっと見たいなぁ。これからが楽しみだなぁ。
発酵茶の気運と並んで、焙煎茶の気運も私の中でうなぎのぼり。これからの日本茶業界、若手の茶師さん達がいろいろな魅力を増やしてくれそう。
ちなみに最近、富士山まる茂茶園のウェブショップがオープンしたので、そちらでも購入することができる。特に丸火・青の方は量産はできないとのことで数量限定になっているそうだが、品切れの時は楽しみに次の焙煎を待とう。待ち遠しさもひとつの喜びだ。