蠍は留守です記

蠍の不在を疑わずに眠る暮らしの記録

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お茶とわたし:お茶との一期一会

このエントリは『お茶とわたし Advent Calendar 2015』の10日目です。

お茶は何もかもが一期一会である。たとえ毎日気軽に食卓で飲んでいるお茶でさえも、昨日と同じものはない。茶葉の量、水の質、お湯の温度、自分のコンディション... ましてや外で誰かとお茶を飲むとなれば、もっと複雑な要素が絡まり合ってくる。

飲んだことのない種類のお茶や、見たことのないお茶の淹れ方、お茶がそこにあるというだけで繋がる人との縁。はじめましてのことがたくさんたくさんある。

今回はお茶の縁を通じて出会い、運よく飲ませてもらった珍しいお茶を淡々と紹介してみたい。もう二度と飲めないんだろうなってものも、中にはあるし。

柑橘詰めの普洱茶

柑橘詰めの普洱茶

普洱茶区のお茶、つまり福建省産だろうとのこと(出自うろおぼえ)。柑橘に詰めてあるのだが、要するに漢方で言うところの陳皮に普洱茶が詰まっているということだ。あたたまるお茶であった。

まる茂茶園の大寒茶

まる茂茶園の大寒茶

富士山まる茂茶園の大寒茶はおもしろいお茶。大寒茶というのは「二十四節気、大寒の頃の葉を樹よりいただき造ったお茶」とのこと。冬に収穫するためにわざわざお茶の木に葉を残すのだそうで、生産量も多くない。

THE 葉っぱ、という見た目とは裏腹に、出汁のような繊細な味がする。いわゆるお茶っぽい飲み方というよりは、大量の水に1枚入れて甘い水みたいな感覚で飲むのがよい感じ。うん、甘い水なんだマジで。

まる茂茶園 ウェブショップでも購入ができるので、手に入らないお茶というわけではないが、おそらく品切れになったら次の季節まで手に入らないのだと思う。

樹齢200年の老木白茶

樹齢200年の老木白茶

これも出自はよくわかっていないが、樹齢200年のお茶の木から取れた茶葉を白茶にしたものとのこと。ひとくち飲むと、足元の方から大地の気が上がってくるような力強さを感じる。

決して土臭いわけではないのだが、明らかに土から来るエネルギーって感じの味なのだ。爽やかにそよ吹く風、とかではない。大地に根差した重厚感あるお茶っ気で、身体が一気にあたたまる。身体のあたたまり方って、お茶によって本当に違うからすごい。

60年代のお茶、水仙品種

60年代のお茶、水仙品種

こちらは木ではなくてお茶そのものが60年代に製茶された老茶なのだそう。定期的(7年ごとだったかな?)に様子を見ながら焙煎をしているとのこと(だった気がする、うろおぼえ)。

なんとも言えない複雑な味がするが、先ほどの老木白茶に似た感じのお茶っ気を感じる。でもちょっと感じが違う。どちらにも共通するのは、ジャズというよりは壮大なオーケストラって感じの味だってこと。荘厳な銅鑼の音がずしんずしんと少しずつ響いてくるような。

うん、ちょっと何言ってるかわかんないよね。お茶を飲んだ時に五感すべてで受け止めた感覚を語彙としてストックしていきたいものだと思うが、なかなかしっくりする言葉が見つからず難しい。精進したい。

文山包種茶、2012年の冬片

文山包種茶、2012年の冬片

最近飲ませてもらったお茶の中でいちばんテンションが上がったのがこれ。文山包種茶の冬片。

冬片というのは、当時前後から大寒にかけて収穫される茶葉を指すのだそうだが、これは毎年コンスタントに作られるわけではない。天候や収穫量など、様々な条件が揃ってはじめて生まれる茶葉だ。茶農家によっては出荷せず、娘さんの嫁入りに持たせるために取っておくところもあるのだとか。

寒さを耐えた茶葉のため、糖質が多く含まれ、渋みがほとんどないクリアな味になる...とは聞いていたが、本当に繊細な味がする。確かに文山包種の味なのに、もっときめの細かいニュアンスがある。絹のような、と表現していた人がいたが、それもよくわかる。


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