このエントリは『お茶とわたし Advent Calendar 2015』の24日目です。
お茶は楽しい。香りを聞くこととか、味わいを楽しむこととかも大事だけれど、誰かと過ごすひとときにほっとした雰囲気をもたらしてくれる。おしゃべりのために口を潤す意味合いもあるかもしれない。
誰かと一緒にお茶を飲むのは楽しい。しかし、台湾茶や中国茶の道具はなかなか各ご家庭に用意があるものではない。なので、最近では気軽に持ち運んで人のおうちで勝手にお茶を淹れたりしている。
お茶が好きな友達と集まって女子会をした時は、ポットにお湯を沸かしてもらってテーブルでお茶を淹れ、お湯を捨てる時などには調理用の耐熱ボウルをお借りして使わせてもらった。茶器はあらかじめちゃんと準備して持参したので、友達に茶器の可愛さを感じてもらうこともできた。
別の友達のおうちで鍋をした時には、ざっくりと適当に持っていった。湯沸かしポットの類がないお宅だったので、電気ケトルは自宅から持参した。が、それ以外の用意が適当すぎて、茶海を忘れてしまうという事態。とりあえず人数がそこそこいたので、飲杯に直接注ぐことで茶海がなくてもなんとかなった。
慌てず騒がず、そこに茶葉とお湯があれば、あとはわりかし適当でいいのだ。目の前にある道具だけで大概のことはどうにかなるな、と思えた日でもあった。
私自身お酒を飲まないこともあるし、あまりお酒が得意でない友達が多いので、ゆるゆるとお茶を飲んで過ごせる時間は貴重だ。同じ嗜好品を一緒に味わうというのはなんとなく心楽しい。お酒を誰かと一緒に飲みたいという人の気持ちと同じかどうかはわからないが、なんとなくわかる気がする。
ちょっとずつお茶に興味を持ってもらっているのもうれしい。私自身はあまり詳しいわけでもないのに、お茶のことをちょいちょい聞かれたりもするようになった。お茶への入口の取っかかりは意外と少ないってことなのかもしれない。
そんなふうにして一緒にお茶を飲むことで、好きな人達との時間が好きなお茶の香りで包まれる感じ、すごくいい。楽しかった時間を振り返ると、あの時のお茶の香りが一緒に思い起こされる。
お茶を飲みながら弾んだ話には、少しだけきれいな色が付くような、そんな感じ。香りや味と紐付いた日々の記憶は時にとても鮮烈だけれど、お茶の花香・密香はふんわりとやわらかく記憶の輪郭をくるみながら、あの日の笑顔と共に優しく香り続けるようだ。