このエントリは『お茶とわたし Advent Calendar 2015』の14日目です。
台湾茶や中国茶を淹れるのに最適な急須は、やはり中国茶のために作られた茶壺だと思う。先日紹介した飲杯は何を使ってもいいと思っているけれど、茶壺はそうはいかない。私も初心者なりのこだわりを持っている。
我が家にもいくつか茶壺がある。入門用にはじめて買ったものから数えて、気付けばもう7、8個くらいになっている気がする。どれもちゃんと使っていて、基本的には淹れる茶葉によって茶壺を使い分けていると思ってもらったら間違いない。
陶器の茶壺にはお茶の香りが移る。使っていくうちにお茶の成分が蓄積され、新しい茶壺で淹れるお茶よりも使い込んだ茶壺で淹れる方が美味しくなるとさえ言われる。なので、茶葉の性格が違うものを同じ茶壺で淹れるよりも、使い分けた方がいいと言われている。
持っているものの中でもいちばんお気に入りが下の写真のもの。台湾高山茶専用として使っている。本当は種類ごとに分けて使いたいのだが、富豪ではないので、そこまではできない。主に梨山烏龍茶、阿里山烏龍茶、梅山烏龍茶、杉林渓烏龍茶を淹れる時に使っている。
この茶壺は、台湾・鶯歌陶瓷老街の七子陶藝社で購入した林國順氏作の紫砂壺。はじめてちゃんとした茶壺を買うために予習に予習を重ね、わくわくしながら鶯歌まで足を伸ばし、検討に検討を重ねた結果これと決めて購入した。あの時はかなり大人の階段のぼった感を味わったなぁ。
購入した時に本体と蓋をつなぐ紐をかけてもらったのもうれしかった。お茶の達人の先輩方に言わせると紐はかえって邪魔になるから要らないと言われるのだけれど、これをかけてもらってる時のうれしさったらなかったよ。うれしくてずっと見てた。
今では私も紐がない茶壺でもお茶を淹れられるようになってきたけど(初心者にとってはこの紐がけっこう大事な役割を果たしてくれたりするのだ)、この茶壺の紐にはうれしい思い出がいっぱい詰まってるので、はずすつもりはない。
茶壺以外にも鶯歌陶瓷老街で購入してきたものはいくつかある。お箸みたいな形の茶杓だとか、お茶を茶缶から出したり上に乗せて鑑賞するための茶則だとか、ピンセットみたいな形の茶挟だとか。どれも使いやすくてかわいくて気に入っている。
以前に茶藝館やお茶屋さんを紹介したけど、茶器を本気で探すなら鶯歌陶瓷老街がおすすめ。もちろん台北市内にも鶯歌の窯や作家さんのものが出てはいるけど、鶯歌は街まるごとひとつに茶器が溢れてるって想像してみて。行きたくなるでしょう?
そうやって選んだ茶器は間違いなく、一生ものになる。毎日が幸せになるよ。